昔、宇津ノ谷の里にあった梅林院という寺の小僧が、人喰いの鬼となって旅人に恐れられていました。東下りの途中でそれを聞いた在原業平が、野州素麺谷の地蔵に祈願したところ、地蔵は僧になってあらわれました。人に姿を変えた鬼に、僧が「正体をあらわせ」というと、たちまち6メートルほどの鬼となりました。「なるほど大したものだ。今度はワシの手の平に乗ってみよ」というと、小さな玉となって僧の手の上に乗りました。それを杖でたたくと、玉は10粒の小玉となり、僧はそれを一口に呑み込んでしまいました。それからは鬼の災いがなくなったといわれています。
里の人は地蔵尊をまつり、数珠の形の十団子をつくって災難除けに頒けたということです。
地蔵堂は峠道の途中にありましたが、いまは慶龍寺にまつられています。